〈増税や競合激化など課題山積、問われる食品スーパーとしての価値〉
新型コロナウイルス感染拡大の影響による巣ごもり消費、内食需要の増加で、食品スーパー(SM)の売上はおおむね伸長している。

日本スーパーマーケット協会(JSA)の調べによると、食品スーパー270社の食品の既存店売上高は2020年2月以降、5カ月連続で前年をクリアした。ただし、コロナによる今後の見通しが不透明な上、昨年の消費税増税による消費マインドの低迷、ドラッグストア(DgS)など異業種との競合激化、人手不足、物流費高騰などの課題は多い。

クスリのアオキホールディングス(石川県)は6月、金沢市で食品スーパー5店を運営するナルックスを買収した。アオキの大型店の鮮魚テナントとして運営する予定で、生鮮食品の販売強化を一層進める。福井のゲンキーや福岡のコスモス薬品などドラッグストアが食品の販売強化を推し進める中、食品スーパーと総合スーパー(GMS)を統合する動きも強まっている。イオングループは地域ごとに売上高5000億円規模の企業体へ各地域の食品スーパーの統合を進める一方、総合スーパー事業の復活と収益改革を掲げるPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)はユニーの総合スーパーを改装し、収益改善を進めている。

出店エリアをじわじわと広げる企業も目立つ。京都のさとうは北近畿を本拠地にしつつも、4月、大阪府吹田市に新店をオープン、今年はさらに寝屋川への出店も計画しており、京阪エリアでの存在感を徐々に高めている。また、コノミヤ(大阪)は5月に奈良のスーパーおくやまを子会社化して奈良県に進出、東海エリアも含め6府県で展開することになる。

中四国エリアでは広島のイズミが2019年11月に香川県のマルヨシセンターと業務提携を締結した一方、ライバルである愛媛のフジは今年1月、広島のニチエーを完全子会社化しており、熾烈(しれつ)な覇権争いが繰り広げられている。

食品スーパーとしてのあり方や収益構造の抜本的な見直しで成果を出す企業もある。兵庫の関西スーパーマーケットはここ数年出店がないものの、地道に新型フォーマットへの改装と社内構造改革を進め、5期連続で既存店売上を伸ばし、増収増益を続ける。オークワ(和歌山)は見切り品や廃棄品を減らしつつ、総菜工場の順調な稼働で粗利率を改善したことで前期大幅増益となった。この春からは4つのPB(プライベート・ブランド)を新たに立ち上げ「オークワらしさ」を前面に押し出した商品改革を進めている。

同様に、愛知のヤマナカも社内の改革を推し進めてコスト構造を見直しつつ、地元の隠れたメーカーの商品を発掘した「ヤマナカならでは」な商品の構成を増やすことで競合と差別化を図る。ドラッグストアなど他業種との価格競争とは一線を画す食品スーパー独自の価値が問われている。