2020年の夏物商材はコロナ禍の最中にあって、単純に前年との比較は難しいが、傾向としては前年以上の長梅雨がブレーキとなり、清涼飲料やアイスは伸び悩んでいるもようだ。

7月も終盤というタイミングでようやく西日本から梅雨明けが始まり、それと共に気温はグングン上昇、太平洋側の各地域では35度以上の猛暑日を観測している。その意味で夏物商材はこれからの挽回に期待したいところだが、RTD(チューハイ・サワー類などの低アルコール飲料)は引き続き好調を持続、乾麺も内食シフトにより堅調と、必ずしも天候と連動しない動きもある。

〈清涼飲料は苦戦も、お茶・水・炭酸水・野菜飲料・ボトルコーヒーが比較的好調〉
清涼飲料の夏場の実績は天候に左右されやすいが、昨年に続く長梅雨により、7月は前年をやや下回る販売数量で着地する見込み。その中で比較的好調なのは、お茶・水・炭酸水・野菜飲料・ボトルコーヒーが挙げられる。

また、希釈(濃縮)飲料も市場規模は小さいものの、家庭内需要が高まっており、ネット通販の拡大から、ラベルレス飲料など通販専用商品もラインアップが充実してきた。

他方でコロナ禍ではマスクをつける人が増え、室内での熱中症も増加傾向にあり、熱中症対策は例年以上に注意喚起が必要となっている。各社とも8月は啓発活動を強化する考えだ。

〈アイスはスーパー向け好調、コンビニ向けが苦戦〉
量販店のアイス売場

量販店のアイス売場

 
最もアイスが売れる7月のメーカー出荷金額は前年比3%減、昨年も冷夏で7月は苦戦しており、これをさらに下回る事態となっている。なお、4〜7月累計ではメーカー出荷金額で2%増。
 
コロナ禍により家庭用は、スーパー向けは「巣ごもり」需要の拡大で好調だったものの、コンビニ向けは外出自粛による来店客の減少と長雨の影響で7月は16%減と大幅にダウン、販売チャネルで明暗が分かれた。外食向けや観光地向けなど業務用は大幅ダウンしている。
 
8〜9月は前年の市況も良く、あるメーカーの担当者によれば、「2カ月とも簡単に伸長する月ではない」という。特に9月は昨年、各社とも新商品のタイミングで天候も恵まれ、7月のマイナスから大きく挽回したという実績があり、今年はこれが大きなハードルとなって、さらに外食、コンビニの苦戦が続くと考えられる中で、前年を上回る実績確保は容易ではないものとみられる。
 
〈ビール系飲料は料飲店需要に打撃、缶チューハイは大幅伸長〉
ビール系飲料市場では、コロナ禍で料飲店需要が壊滅的な打撃を受けており、あるビールメーカーでは「営業努力だけではどうにもならない」とするなど、八方塞がりの状況だ。しかし、1〜7月累計の総出荷量が前年比9%減にとどまっているのは家飲み需要が拡大しているからだ。
 
3月からビール(樽・瓶)の2ケタ減、新ジャンル(第3のビール)の1ケタ台の増という推移が続いており「外で飲まなくても家で飲む。しかし、量的には業務用の落ち込みをカバーできないし、ビールではなく安価な新ジャンルに流れている」とみる。
 
缶チューハイはビール系飲料と反比例して絶好調だ。1〜6月のRTD総市場(ハイボール缶・業務用樽詰めサワー・「檸檬堂」含む)は前年比19%増となり、前年の増加率(11%増)を大きく上回っている。
 
絶好調の要因は、低価格で酔えるという経済性と、甘くないフレーバーの提案で食中酒としての位置を固めたことが背景にある。また、料飲店での食事が楽しめない状況下で「お店で飲むようなおいしいレモンサワーを家庭でも」というコンセプトの新商品が大いにヒットしている。
 
〈チルド麺は家庭内調理の増加で苦戦〉
水でほぐすだけのチルド麺は、シマダヤの「流水麺」に加え、東洋水産「つるやか」、日清食品チルド「そのまんま麺」が登場、ラインアップ充実により、さらなる拡大が期待されていた。しかし、コロナ禍による家庭内調理の増加が思わぬ影響を及ぼし、6月末までで「流水麺」は前年並み、「つるやか」「そのまんま麺」は計画未達という状況にある。今後はプラスアルファの提案と組み合わせることで、需要拡大を期待したい。
 
また、コンビニ・量販店向け調理麺は、長梅雨の影響で、「本番はこれから」という状況だ。関西では「例年よりピークが2週間遅れてきている」という印象だが、梅雨明けから売り上げが伸びており、万全の体制を整えている。
 
関東でも「8月からスタート」という感覚で、長梅雨に苦戦した。関東のメーカーは「思ったより新型コロナの影響が少ない。店舗の立地によっては影響はあるが、郊外のスーパーなどは、緊急事態宣言の解除後は通常通りとなった。それよりもやはり気温の影響の方が大きい」と語る。遅れてきた猛暑に期待が集まる。
 
〈乾麺は外出自粛要請が追い風に〉
コロナ禍による外出自粛要請の影響で、春先に乾麺は大きく数字を伸ばし、さらに5月の早い段階から気温も上昇し、追い風となった。
 
春に最も動きが目立ったのは機械製麺の乾麺で、6〜7月、夏本番となると、手延そうめんの出荷量が増えた。長雨の7月でも、前年比で2割近く数字を伸ばした産地もある。
 
コロナ禍で百貨店が苦境に立たされ、落ち込みが懸念されていた中元ギフトも「思ったより悪くなかった」が手延べ産地共通の感想だ。「この時世で、嗜好品ではなく主食になる麺類に目が向いたのかも」との見方もある。春先は特需で絶好調、夏本番は長梅雨で天候不良ながら、全体で「まずまず」といったところだ。
  
〈コンビニ各社は梅雨明けから順調に回復〉

コンビニ大手3社の看板

コンビニ大手3社の看板

 
コンビニエンスストアは在宅勤務の増加で、日販が高い都心の店舗が大きく下落。全体の売り上げも前年比マイナスとなっている。
 
長梅雨で冷やし麺は厳しい状況だが、セブン-イレブン・ジャパンでは「外出できない環境なので、『とみ田 つけ麺』など(有名店監修の)本格的なものが好調」だという。また、気温の低い日が続き、温かいレンジアップ麺も伸長したという。
 
巣ごもりで「プチ贅沢」需要も高まり、ローソンでは3月に発売した「ブリュレ」「スフレ」などチルドの新感覚スイーツがコロナ禍でも順調に売れ、これまでに1000万個販売したという。セブン-イレブンではPB「セブンプレミアムゴールド」の高価格帯アイスクリームが好調だという。
 
梅雨明け以降は各社順調に回復している。ファミリーマートでは7月最終週と8月第1週はフラッペが前年比2割増、アイス抹茶ラテなどのアイスドリンクが3割増、冷やし中華が4割増となっているという。
 
〈食品産業新聞 2020年8月13日付より〉