総務省まとめの家計調査(全国・2人以上の世帯)によれば、2020年上期累計(1〜6月)の食料支出は、総額では前年比0.7%減の46万426円と微減となった。

これは主にコロナ禍の影響により3月以降の外食支出が急減し、累計では31.1%減と大幅に落ち込んだことによるもので、逆に内食(家庭内調理)の消費を示す穀類や肉類、乳卵類、野菜・海藻などの生鮮食品、油脂・調味料は2ケタ前後の伸びを示している。

また「家飲み」消費に当たる酒類は16%増と高い伸び率を示すなど、「巣ごもり消費」による食料支出の激変を統計で裏付ける結果となっている。

食料支出とは元来、短期的には相場商品的な性格も持つ生鮮食品の価格変動、それに左右される形での消費量の増減、中長期的には景況感や消費増税の影響、ここ10年の共働き世帯の増加傾向を背景にした簡便・即食志向の強まりや、食の外部化による家庭内調理からの外食・中食シフトといった、経済・社会的要因に基づく緩やかな変動を反映するものであり、前年比による変動率も5%以内にとどまるのが普通だ。

それが2020年上期、実質的には3〜6月のわずか4カ月間の消費動向が、ここまで如実に政府統計に影響を及ぼすことはおそらく、かつてなかったことと思われる。

同期の総消費支出は6.3%減と大きな落ち込みをみせたのに対して、食料支出は前年を下回ったとは言え0.7%減にとどまり、消費に占める割合も28.0%と、前年から1.6ポイント高まった。当たり前ながら生活必需品として支出額は優先的に確保されたとみることができる。

項目別の支出金額は関連表のとおりとなっており、4〜5月に小売店での品薄が社会問題化する気配もあった、米、パスタ、麺類などで構成される穀類は7.2%増、食用油や基礎調味料などで構成される油脂・調味料も9.4%増と、例年では理解し難い高い伸び率を示している。

生鮮品も魚介類、果物を除いて2ケタ前後の増加となっており、激変もここまでくれば「巣ごもり消費」と言うよりは、「パニック消費」と形容する方が適切なように思える。

対照的なのが外食支出であり、主な項目・業態別の累計支出では、ハンバーガーが11.0%増と突出して伸ばしている以外は、和食・すし、中華、洋食業態は押しなべて30%前後の減少率と厳しく、飲酒代に至っては44.3%減と半減に近い支出となっている。コロナ禍前の1〜2月の外食支出が比較的堅調だっただけに、業界の失望感は察して余りあるものがある。

中食(惣菜・弁当など)を示す調理食品は3.7%増と堅調な伸びとなっており、ここ2年の拡大地合いに「巣ごもり消費」が追い風になったとみられる。
1〜6月累計の家計調査の推移(1世帯当たり)

1〜6月累計の家計調査の推移(1世帯当たり)

 
〈食品産業新聞 2020年8月20日付より〉