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» 2020年12月01日 16時22分 公開

Innovative Tech:ゴキブリが絵を描き、モノを運ぶ 群れを遠隔操作する技術「Calmbots」 筑波大学が開発

ある意味とても恐ろしい技術が開発された。彼らと共生する生活はどのようなものになるだろうか。

[山下裕毅,ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 筑波大学の研究チームが開発した「Calmbots」は、ゴキブリに電気刺激を与え遠隔で動きを操作するシステムだ。触角などに電極を取り付けて小型ロボットのように動かし、絵を描いたり物体を運搬させたりする。ゴキブリ単体の制御だけでなく、群れとして複数同時に操作もできる。

photo カブトムシのような角を頭部に付け物を動かしている様子

 制御するのはマダガスカルゴキブリという種。身体能力が高く、通常のロボットでは得られない、壁やカーペットなどを移動する能力を備えている。

 動作をコントロールするため、本体の前方左右にある「触角」2本、尻尾のように後方左右にある突起「尾角」2本に電極を挿入し、この4カ所に電気刺激を与える。「両尾角で前進」「両触覚で停止」「右触角で左回転」「左触角で右回転」という電気刺激を与えて制御する。

 ゴキブリには手術で電極を埋め込む。手術中動かないよう、氷上に30分置くことで麻酔をかけ、両触角と両尾角の先端を切り落とす。切り落とした両触覚と両尾角、そして胸部の計5カ所に電極を挿入する。ソケットも背中に装着し、ARマーカー、バッテリー、通信モジュールを載せる。また頭部には、物体運搬用、描画用などのアタッチメントパーツを取り付ける。

photo 手術工程。麻酔、両触覚と両尾角をカット、5箇所に電極挿入、背中にソケット、頭部にアタッチメントパーツを取り付ける

 取り付けたARマーカーを上部のカメラで捉え位置情報を収集する。位置データを基に、ゴキブリの現地点からゴール地点までの制御コマンドを生成する。集団の場合は、ゴール地点に近い個体に指示する。

photo (a)ハードウェア類を装着した状態(b)背中に取り付けるARマーカー、モーター、通信モジュール(c)上部のカメラからARマーカーを追跡する(d)頭部に付けるアタッチメントパーツ

 ゴール方向を向いていない場合、どちらかの触角に電気刺激を与え方向転換させ、ゴールの方向を向いたら両尾角に刺激を与え前進させる。ゴールから7cm以内に来たら刺激を止める。ゴールの通り過ぎを防ぐためだ。

 5cm以内に来たら両触覚に刺激を与え停止させる。到着後は、適宜触覚に刺激を与え、ゴールにとどまるよう制御する。ゴールから離れすぎるとまた最初に戻り、同じことを繰り返す。

photo 現地点からゴール地点までの制御プロセス

 厄介なのが、刺激を与え続けると刺激に慣れて制御不能になることだ。慣れやすさは個体差が大きく、いつ慣れるかの予想もできない。そのため群れで制御する場合、3.3秒間同じ刺激を与え続けても反応しないときは、他の個体に再割り当てする。これにより、全体的な目的達成の精度を保持する。

 このように複数を同時に制御することで、群れで図形や文字を生成しディプレイとして活用したり、頭部のアタッチメントパーツを使用し、ペンや筆で線を描いたり、カブトムシの角のようなパーツで物を押して移動させたりを可能にする。

photo 集団で図形や文字を生成する
photo 物を押して運ぶ
photo 筆で描く
photo 普段は見えない場所に隠れて生活しているが、必要な時に呼び出す

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